教員・学生研究紹介
Q1.現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
研究分野としては広義の社会学になりますが、国家論・都市計画・コミュニティ論などを横断する形で進めています。現在のテーマはロンドン、パリ、東京(横浜を含む)のようなグローバル都市の都市政策を研究しています。 急速に進むグローバル化に対して、都市政策は誰のためにどんな利益を実現しようとしているのか、誰がどのように政策を作っているのか、その結果どんな影響が生じているのか、国家・資本・市民の関係を分析することによって迫りたいと考えています。 例えば、都市間競争のためにはどんな政策が必要なのか?市長はなぜ市民の反対を受けながらもカジノやIRを推進しようとするのか?それは日本だけの現象なのか、世界の他の都市はどうなのか?など。
Q2.教員になるまで、どんな学術・実務上の経験がありますか?
日本での会社員生活をやめ、イギリスの大学院に留学しました。言語も文化も違うし、最初は知り合いもいない環境でしたが、苦労よりも好きなことが思いっきりできる喜びのほうが大きかった気がします。将来が見通せない不安はありましたが、はっきりした目標があったのでなんとか最後まで続けることができました。地理的にも文化的にも距離をおくことで、日本社会を相対的に見る視点を持てたのも大きな収穫だったと思います。世界各国から来て、ともに切磋琢磨した仲間たちとの交流は今も続いています。
Q3.研究指導で大切にしていることについて教えてください。
あくまで大学院は院生が自主的に研究することが前提で、教員の役目はサポートです。自主的に研究を進めるためには初発の問題意識が大切で、そのためには既存研究の批判と理解を徹底させる必要があります。英文を含めてかなり多くの文献を読むことになります。なお、学問の細分化のため、私自身が院生の研究テーマに精通していない場合は、その分野のエキスパートも紹介します。大学院在学中、または修了後に英語圏への留学を考えている人にも対応します。
Q4受験生へメッセージ(大学院生へ)
文系の大学院への進学は卒業後の進路のことなど不安もあるかもしれません。私も甘いことを言うつもりはありません。ただ、世界を見まわすと、文系の大学院進学が日本ほど少ない国も珍しいです。特にアジア各国の状況と比べると、もっと多くの人が大学院で勉強できる環境にならないと日本の将来は厳しいと思います。修了後にどんな分野に進んでも、大学院で身に着けた研究力(科学的な分析能力、論理の構成力、他人を説得できる表現力など)は必ず役に立ちます。人生を切り開く意欲を持った人を待っています。